脳や身体の疾患によるもの
脳の器質的な障害(脳出血、脳梗塞など)、認知症の初期、パーキンソン病、甲状腺機能の障害、出産後、アルコール依存症、薬による副作用(ステロイド剤、降圧剤など)
心理的なきっかけによるもの
近親者の死、離別、大災害など第三者にもそれと分かるはっきりとした出来事の他に、結婚、昇進、転居のような一般には喜ばしいと思えるようなできごと
原因やきっかけが分からない場合
心理的なきっかけはあるか、あってもそれが日常的な出来事であったり、あるいはまったくないのに、まさに原因やきっかけが分からない場合
気分障害(うつ病とは)
気分障害は以前、躁うつ病といわれていました。躁病とうつ病がありますが、うつ病のみを示す患者さんがほとんどで、躁病とうつ病の両方を示す患者さんは双極性障害と呼ばれ、200人に1人くらいです。気分障害はあらゆる年齢で起こりますが、双極性障害は若年〜中年、うつ病性障害は中高年に多くなります。躁病もうつ病も薬物治療、すなわち抗躁薬と抗うつ薬による治療が主体となります。
躁病は気分が高ぶって気も大きくなり、できもしないことを大言壮語する状態で、周囲の者が止めるのも聞かずに浪費したり、危険な行動に熱中します。
一方、うつ病はこの逆で、気が沈み気弱になり、自分を責めるようなことばかり考え、何事をするのもおっくうでふがいなく感じます。一般に睡眠や食欲は低下します。
くしゃみの男性
うつ病はおおよそ1割の人が罹患する病気です
最近の研究によると、単極型のうつ病は、女性では5人に1人、男性では10人に1人がかかるといわれ、非常に多くの方が経験する病気です。
中高年に多いですが、子どもからお年寄りまで広い年齢層で発病します
小児から高齢者まで幅広い年齢層で発病する可能性がありますが、わが国では中年期に一つのピークがあります。
もともと生まじめな方が多く、発病するとさらに考え方が硬くなります
- 勤勉できちょうめんに仕事をこなす
- 周囲と衝突や摩擦を避け、温厚である
- 過度に良心的・道徳的で、強い正義感・責任感を持つ
という性格の方がなることが多く、どちらかというと困難を頑張って乗り越える前向きのタイプです。そのため、うつ病を発病し能率や集中力が落ちると、挽回しようと焦ってさらに頑張ろうとするため、悪循環を生み、「うつ」をさらに進めてしまうことになります。
"クイック減量"
うつ病は、現在のところ脳内神経伝達物質の異常という説が有力です
気分障害の生物学的研究は、近年、精力的に行われており、そのなかでも脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン、セロトニンの機能的欠乏が有力視されています。抗うつ薬は、このノルアドレナリンやセロトニンの機能を回復させる働きをします。そのことがうつ病の状態を改善するのです。
うつ病になることで、自己否定や希望喪失、悲観的な考え方がその人を苦しめます
- 自分自身を否定する
自分を信用できず、自分の能力に対して疑問を持ちます。自分の人間性までも否定して必要以上に自分を責めるようになります。 - 将来への希望が持てなくなる
自信をなくし、将来に対しても悲観的にしか考えられなくなります。「この苦しみはずっと続く」「もう二度と立ち直れない」と思いこむようになります。
治療は薬物療法と精神療法、そして休養の3本柱で
上記のような神経伝達物質に好影響を与える「薬物の服用」(抗うつ薬など)、自責感などを軽減する「精神療法」、心身のエネルギーの停滞を回復するための「休養」という3本柱が大切です。
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