目の構造
目の構造を解説します。眼球の構造は、大きく三つに分けることができます。
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光を屈折・調節する目の構造
外界からの光は、まず「角膜」という窓から入ってきて、大きく屈折します。
つぎに、「瞳孔(どうこう)」を通り抜けていきます。
瞳孔とは、光の量を調節する「虹彩(こうさい)」の中央にある穴のこと。
外界からの光の量に応じて、虹彩は瞳孔の大きさを調節します。
瞳孔を通過した光は、すぐうしろにある「水晶体」へ。
ここで2度目の屈折がなされます。水晶体では、厚みを変化させることによって、遠近調節を行なっています。そのさい「毛様体」と「チン小帯」の助けを借ります。
ここまでで、光の屈折と調節は完了。あとは、光を「網膜」にとどけるだけです。
角膜
角膜は、カメラでいうと「レンズの部分」です。
家にたとえると、光を部屋のなかに入れる「窓の部分」になります。
角膜は、白目部分の強膜とつながっており、眼球の形を保つはたらきもあります。角膜の厚さは1ミリ程度。
外界の物体から反射された光は、まず角膜から、眼球内に入ってきます。
ここで、7割ほどの屈折を完了。角膜だけではなく、眼球内部の「房水」も協力し、平凸レンズをかたちづくっています。
房水は、前眼房に満たされている液体です。
角膜は透明な組織でできています。
そのため、血管がとおっていません。血管があると、光がスムーズに通過できないためです。角膜は表面の涙や、眼球内部の房水から、酸素と栄養をうけとっています。
角膜は5層構造になっており、もっとも内側の角膜内皮細胞は、1層だけの貴重な細胞。酸素不足によって一旦死滅すると、二度と再生されません。
虹彩(こうさい)
虹彩は、カメラの絞りにあたる部分です。
家にたとえると、光をさえぎるカーテンといえます。
虹彩はメラニン色素のある場所。
日本人は茶褐色になっているため、紫外線をしっかりカットしてくれます。
いっぽう、白人はメラニン色素がうすいため、青くなっています。
メラニン色素がうすいと、紫外線を多く通してしまいます。このため白人は、サングラスによって目を守る必要があるのです。
虹彩の中央部は、「瞳孔(どうこう)」です。
瞳孔は、単なる「穴」。光の量によって、大きさが変わります。
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光の量が多くなると、瞳孔が小さくなります。
これによって、光の取り込みを少なくして、まぶしさを和らげるわけです。
反対に光の量が少なくなると、瞳孔が大きくなります。
こうすることによって、できるだけ多くの光を取り込むことができるのです。
瞳孔は、自律神経によって支配されています。
緊張して交感神経が優位になると、瞳孔が開きます。
反対にリラックスして、副交感神経が優位になると、瞳孔が小さくなります。
近くを見るときも、瞳孔は小さくなる特性があります。
人が死亡すると、自律神経が働かなくなります。
そうすると目に光を当てても、瞳孔が小さくならないことに。この特性から、死亡の判定基準となっています。
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水晶体
水晶体は、カメラでいうと「レンズの部分」です。
両面がふくらんでいる「両凸レンズ」になっています。
前述の角膜にも、レンズの役割があります。
ただし角膜は「固定レンズ」、水晶体は「可変レンズ」。
可変レンズ、つまり微妙に形を変化させて、"遠近の調節"を行なうところが、この水晶体です。
ただし水晶体は、自身の力だけでは、レンズの厚みを調節できません。
水晶体の周囲にある「毛様体(もうようたい)」という筋肉と、「チン小帯」という繊維の協力が必要です。
水晶体は、角膜と同様、透明な組織でできています。
そのため血管がとおっていません。水晶体の周囲にある房水から、酸素と栄養を受け取っているのです。同時に房水に、老廃物を排出しています。
水晶体には、「紫外線を吸収する役割」もあります。
紫外線が、できるだけ網膜に届かないように、盾の役割をしているのです。
毛様体(もうようたい)、チン小帯
毛様体とチン小帯は、水晶体と一体となって、遠近調節を行なっています。
毛様体は筋肉でできており、「毛様体筋」ともいいます。
近くに焦点を合わせるときは、まず毛様体筋がちぢんで、ふくらみます。
すると、毛様体と水晶体の間隔がせまくなるため、チン小帯がゆるみます。
このとき水晶体は、解き放たれて自由に。自身の弾力によって厚くなります。
反対に、遠くに焦点を合わせるときは、まず毛様体筋がゆるんで、サイズが小さくなります。すると、毛様体と水晶体の間隔があくため、チン小帯が毛様体にひっぱられます。
このときチン小帯が、水晶体を横から引っぱることに。
その結果、水晶体がうすくなります。
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こういった毛様体筋の緊張と弛緩(しかん=ゆるむこと)は、無意識に、つまり自律神経によってコントロールされています。
毛様体は、「房水(眼房水)」をつくりだすところでもあります。
房水は、角膜や水晶体にとって、血液のかわりとなるもの。角膜と水晶体に、酸素と栄養をあたえ、老廃物を回収する役割があります。
外壁部分の目の構造
眼球の外壁部分は、3つの層でできています。
一番内側は、「網膜」。
屈折と調節をおえた光は、この網膜に到達します。
網膜の外側にある中間層が、「脈絡膜」(みゃくらくまく)。
脈絡膜には、無数の毛細血管がはりめぐらされています。そして、網膜と強膜に、酸素と栄養をおくっています。
その外側は「強膜」。白く強い部分です。
強膜は目を衝撃から守り、目の形をたもっています。
網膜(もうまく)
網膜は、眼球壁の一番内側に張りめぐらされています。
網膜はカメラでいうと、フィルムにあたるところ。
網膜の中で、とくに感度のよい部分を、「黄斑部(おうはんぶ)」といいます。その中央部は「中心窩(ちゅうしんか)」といい、もっともよく見える箇所です。
網膜の表面には、「錐体(すいたい)」、「杵体(かんたい)」という「視細胞」が、片目で1億個以上、存在しています。
その視細胞にある「視物質」に光にあたると、視物質は分解。このとき、光の情報が電気信号に変換されます。
変換された電気信号の情報は、網膜に無数にある「神経線維」を経由して、「視神経乳頭」に集められます。そこで、1本の太いケーブルである「視神経」となって、脳まで情報がおくられていきます。
脈絡膜(みゃくらくまく)
脈絡膜は、網膜の外側にある膜です。
眼球の三つの層のうち、ちょうど中間にあたります。
脈絡膜は色素が多いために、黒っぽくなっています。
これが、カメラでいう暗箱の役割をすることに。角膜という"窓"以外からは、眼球内に、光が入ってこないようにしているのです。
脈絡膜には、動脈と静脈の毛細血管が、無数に張りめぐらされています。
そして強膜と網膜に、酸素と栄養を補給。同時に老廃物をうけとっています。
網膜にも血管は走っていますが、脈絡膜にはさらに多くの毛細血管が、網の目のように走っているのです。
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「脈絡膜・毛様体・虹彩」は、同じ組織でできていて、連続しています。
これらを総称して、「ぶどう膜」といいます。上のイラストでいうと、外壁の中間層と、さらに眼球の前方へとつながっている"ぶどうの色をした部分"。
眼球内で唯一、血管が通っているところです。
強膜
強膜は白目の部分で、カメラのボディに相当します。
厚さは約1ミリと、意外にうすくなっています。
強膜は文字どおり、強い組織。
外部の衝撃から、目の内部を守ってくれています。
強膜は、角膜と一続きになっています。
角膜の厚みも1ミリほど。ただし強膜は不透明、角膜は透明な組織です。
子供の目は、白目が青みがかって見えるものです。
これは、子供の強膜が薄いため。内側の脈絡膜の色がすけているのです。成長とともに、強膜は厚くなっていくため、だんだん白くなっていきます。
年齢をかさねると、白目部分が黄色く見えるようになります。
これは強膜が原因ではなく、「結膜」が厚くなるため。結膜とは、強膜の表面をおおっている、透明な粘膜です。
目の内部を満たす成分
目の内部を満たす流動的な成分に、「房水」と「硝子体」(しょうしたい)があります。いずれも透明な組織。光の進行をさまたげないためです。
イラストでは、わかりやすくするために硝子体を青にしています。
房水と硝子体は、眼圧をつくりだし、眼球の形をかたく保つ役割があります。
同時に、眼球内の新陳代謝も行なっています。
房水
房水は、透明な組織である水晶体と角膜に、酸素と栄養を供給しています。それと同時に、老廃物も回収しています。
つまり血液の代役となって、水晶体と角膜の新陳代謝を助けているのです。
房水には、硝子体(しょうしたい)とともに、眼球内の圧力(眼圧)をつくりだす役割もあります。この"水圧"によって、眼球を硬くたもっています。
もし眼球内が空洞で、水分で満たされていなければ、眼球はフニャフニャになってしまうでしょう。
房水は、毛様体(もうようたい)でつくられます。
その後、水晶体の前から「瞳孔(どうこう)」を抜け、「前眼房」に流れ出ます。
水晶体と角膜の新陳代謝をおえた房水は、「隅角(ぐうかく)」から排出。
隅角とは、虹彩(こうさい)と角膜のあいだのことです。
その後、全身の静脈に合流していきます。
隅角がせまくなったり、出口のフィルターである「繊維柱帯」が目づまりをおこすと、房水が排出されにくくなります。
こうなると、房水のつくられる量が、排出量を上回ってしまうことに。
その結果、眼球がパンパンにふくれ上がり、眼圧が上昇します。
眼圧が上昇すると、「視神経乳頭」が圧迫をうけるため、「視神経」の血流が悪くなります。こうなると、視神経の新陳代謝がうまくいかなくなります。
この状態がつづくと、視神経が死滅。視野が欠ける緑内障になります。
硝子体(しょうしたい)
硝子体は文字どおり、ガラス(硝子)のように無色透明な組織です。
硝子体は、卵の白身のような、ゲル状の、どろどろした物質。
水晶体のうしろから網膜の前まで、眼球の大部分につまっています。
これにより、眼球の形をしっかりたもつ役割があります。
硝子体は、房水とともに、眼圧をつくりだしているのです。
年齢とともに硝子体は、ゲル状(ゼリー状)成分と、液状成分とに分離していきます。
本来、硝子体は、網膜にくっついています。
しかし、加齢とともに液状成分ができはじめると、ゲル状成分(本体)がちぢむことに。そうなると硝子体が、網膜からはがれることがあります。
この現象を、「後部硝子体はく離」といいます。
後部硝子体はく離は、たんなる加齢現象で安全なもの。
ただし人によっては、このとき網膜を引っぱってしまい、穴があくことがあります。これが「網膜裂孔(れっこう)」です。
これを放置していると、網膜がはがれる「網膜はく離」にまで進行することも。
後部硝子体はく離のさい、硝子体に、繊維状のシワができることがあります。こうなると、その影が網膜にうつることに。これが「飛蚊症(ひぶんしょう)」です。飛蚊症になると、目のまえに、蚊やゴミが浮いて見えるようになります。
飛蚊症は生理的なもので、基本的には安全です。
まれに網膜にあいた穴が、飛蚊症として現れていることもあります。
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